ベートーヴェンの交響曲第九番、「第九」は年末の風物詩。この曲が聴こえてくると、「今年も終わりだなあ」なんて気になりませんか? クラシック音楽史上でも屈指のヒット曲だけに、数多くの指揮者や楽団が「第九」を演奏しており、音源ももりだくさんです。そんななかから、「これはおもしろい!」と思わずうなってしまうエピソードのある「第九」CDを、『ぴあクラシック』の編集長、田中泰さんにピックアップしてもらいました。


ベートーヴェンのほかにも、第九番のシンフォニーを書いた作曲家は何人かいますが、ほとんどの人は「第九」といえば、ベートーヴェンの作品を思い浮かべます。メロディメーカーとしてのベートーヴェンは本当にすごい存在で、「第九」のあの旋律は刷り込まれているはず。誰もが知っているベートーヴェンの最高傑作=クラシックの最高傑作というイメージが定着しているといってもいいでしょう。

一口に「第九」といっても本当に数多くの種類があり、演奏の好みは人それぞれ違うと思いますが、今回はエピソードのあるCDを5つ、選びました。


●田中泰●
ぴあクラシック 』編集長。クラシック・ソムリエとしても活躍。2009年1〜2月には、フランス・ナントで行われるクラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ」を取材するほか、5月の日本開催ではソムリエとして活動予定。


■聴きたい、語りたい! おもしろ「第九」CD5選■



フルトヴェングラー指揮/バイロイト祝祭管弦楽団&同合唱団

昔から第九といえば、こちらがロングセラー。録音は古く、モノラルですが、演奏は本当にすごい! ライブ録音で、最初に指揮者の足音が入っている点でもマニアの心をくすぐります。





ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1962年録音)

今年2008年に、生誕100年を迎えたカラヤンの指揮による第九。何度か第九を録音しているカラヤンですが、1960年代後半に、イエス・キリスト協会で録音したこの音源がベストといわれています。昨年発売され話題となった、20万円のガラス製CDの音源にも選ばれた名盤中の名盤です。





レナード・バーンスタイン指揮(1989年ライブ盤)

カラヤンのライバルといわれるバーンスタインは、今年、生誕90年。そのバーンスタインの指揮の下、各オーケストラの混成メンバーが、崩壊したベルリンの壁の前で演奏したライブ盤。

CDケースの右上には、ベルリンの壁のカケラが入っています。





ベートーヴェン (ワーグナー編曲) / 交響曲第9番 「合唱」

ベートーヴェンの「第九」をワーグナーが編曲。第四楽章の合唱部分はそのまま残していますが、第三楽章まではピアノソロで構成されており、日本人のピアニスト、小川典子が演奏しています。小編成ながら質の高い合唱も必聴です。





ダニエル・バレンボイム&ウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ

イスラエル・レバノン戦争の中、パレスチナとイスラエルの人々に平和を訴えるべく、バレンボイムが立ち上がり、オーケストラを編成。中東地域の若い音楽家たちのミュージックキャンプを作り、ゲーテの詩集から「ウェスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ」と命名、平和の象徴である「第九」を演奏しました。ソリストは、バレンボイムの信頼厚い名歌手が起用されています。



自分にはどんなタイプの“第九”が向いているのかを知るためには、『歓喜の歌〜第九のすべて』という、さまざまな第九の最後の部分だけを集めたCDもあります。第九の下書きとなった「合唱幻想曲 作品80」では第九の断片がたくさん聴こえてきますし、ジャズドラムを第九に合わせて叩いた「トリビュート・トゥ・ベートーヴェン」もおもしろいですよ!



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